サマリー
◆2018年3月5日に全人代が開幕する。2018年の政府経済成長率目標は2017年と同様、前年比6.5%前後に設定されるとみている。ただし、同6.5%以上が目指された2017年とは異なり、若干の下振れも容認されることになろう。
◆2017年以降、省レベルの地方政府で統計の水増しなどが相次いで明らかになった。地方政府幹部の評価の重点は、かつての成長率や税収から、過剰生産能力の削減や新規債務増加の抑制、環境保護、貧困削減などに移った。では、成長率は問われなくなったのか?答えは否であり、ニューノーマルでは「中高速」成長が求められた。新規債務の増加が抑制される中で、「中高速」成長を維持するために、財政収入や工業生産を水増しして辻褄を合わせようとしたのだが、当然のことながら綻びは隠せなかった。
◆習近平総書記は、昨年10月の第19回党大会で、中国経済は高速成長段階から、質の高い発展段階へと転じているとした。習近平政権が、「中高速」成長の旗印を降ろすことで虚偽や水増しのインセンティブを減じ、質の高い発展への方向付けを試みているのであれば、悪い話ではない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
-
中国:トランプ関税2.0で25年は3.9%成長へ
迂回輸出は当面温存。「トランプ関税2.0」の長期化は想定せず
2025年04月23日
-
中国:米国の対中追加関税率は累計104%→145%、中国経済への悪影響はほぼ変わらず
中国は交渉(ディール)の用意があることを示唆
2025年04月11日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日