深セン・香港ストックコネクト(深港通)の導入による本土市場への影響

制度案の概要と上海・香港ストックコネクト導入後の取引動向

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2016年09月14日

サマリー

◆今年11月頃を目途に深セン証券取引所と香港証券取引所をつなぐ深セン・香港ストックコネクトの開始が計画されている。


◆上海・香港ストックコネクトの導入の際には、両市場に同時上場する銘柄(A+H株)の価格差が縮小するのではないかといった予測や、制度開始直後の本土市場の株価の急激な上昇が話題となった。


◆上海・香港ストックコネクト導入後の上海市場の株価上昇には政策金利の引き下げ等のその他の要因もあり、制度による直接的な影響は小規模だったと見受けられる。2015年末時点における当該制度による投資残高は当初規定されていた投資上限額に満たず、保有割合は上海市場の時価総額の0.5%ほどに留まっている。


◆深セン・香港ストックコネクトの導入においても、当該制度により流入する資金が深セン上場株の株価に与える直接的な影響は限定的となる可能性がある。


◆深セン・香港ストックコネクトの導入はA+H株の市場間の価格差を完全になくすまでには至らないのではないか。


◆制度導入による直接的影響は限定的と考えられるものの、当該制度の導入の主眼は中国本土株式市場の国際化の推進にあろう。また、主要な新興国指数へのA株の組み入れに向けた有効な取り組みではないだろうか。

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