サマリー
◆3月31日に発表された中国の国際収支統計の確報によると、2015年の金融収支(外貨準備を除く)は年間で▲4,856億ドルの流出超、金融収支と誤差脱漏の合計値は年間▲6,739億ドルとなった。
◆足元では資金流出圧力は和らいできている。人民元の対ドルレートも安定してきており、外貨準備高の2月における減少幅は▲286億ドルに留まった。銀行の外貨為替業務においても、人民元を外貨に交換する動きは弱まってきている。
◆資金流出圧力の低下の背景には、米国の利上げ観測の変化や、オフショア市場への介入、及び資本規制における対応等があるであろう。中国は現行の資本規制で十分との見解を示しているが、同時に従来の規制の実施徹底や細則の追加等細やかな対応をとっている。
◆債務構造に関しては米ドル建て債務の返済が進んでいる。資金流出の規模の大きさが注目されがちだが、外貨建て債務の返済が進んでいる点はポジティブに受け止めることもできるであろう。
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