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中国銀行セクターのストレス増加

民間企業の銀行借入依存の高まりと不良債権比率の上昇が懸念点

2015年08月17日

ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 矢作 大祐

サマリー

◆中国の民間債務の積み上がりが顕著になる中、2014年以降、資金調達における銀行貸出のシェアが高まりつつあり、銀行へのリスク集中が懸念される。中国経済の成長鈍化を受け、2014年以降不良債権比率の上昇ペースが速まっており、中国の銀行セクターはストレスを抱えている。


◆2014年に中国の銀行セクターの不良債権比率の上昇ペースが速まった要因としては、東部都市部における、①不動産価格の下落に伴う、関連企業の収益の悪化や担保割れの発生、②製造業・鉱業、小売、卸売業の不振がある。これらの要因は、2015年も改善の兆候はみられないことから、引き続き不良債権比率は上昇する可能性が高い。


◆2015年末の不良債権比率は、昨年と同程度の上昇を仮定した場合、2014年末の1.3%から1.9%まで高まると予想される。これに伴い懸念されるのは、銀行のリスク回避姿勢が強まり、貸し剥がしや貸し渋りが発生し、経済に悪影響を与える可能性であろう。


◆中国当局も銀行へのリスク集中や不良債権比率の高まりに危機感を有している。不良債権比率の高まりへの対応策としては、過去に4大銀行の不良債権処理を行った金融資産管理会社4社に加え、2014年以降省市レベルでの金融資産管理公社の設立が開始されており、不良債権処理の進展が期待される。


◆銀行へのリスク集中の対応策としては、貸出債権の証券化が進められている。しかし、貸出資産に比べて証券化商品の発行許可額が小さいことや、証券化商品の多くを銀行セクター自身が保有しているなど、貸出債権の証券化には課題が残る。

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