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2015年IMF SDR見直しと中国人民元

人民元のSDR構成通貨入りに向け、中国当局の改革意欲が試される

2015年07月17日

ニューヨークリサーチセンター 研究員(NY駐在) 矢作 大祐

サマリー

◆中国当局は、人民元の国際化に向けて様々な取り組みを進めている。2015年は通貨の国際化のメルクマールとなるIMFのSDRバスケット構成通貨の見直しのタイミングであり、人民元が構成通貨に入るか否かが論点となっている。


◆人民元の構成通貨入りは2010年の見直しの際も検討されたが、要件を満たしているとIMF理事会で認定されなかったため、構成通貨入りは承認されなかった。中国当局による人民元の国際化に伴い、人民元の利用は急速に拡大しているものの、他の構成通貨である米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円と比べて利用シェアは小さく、2015年の見直しにおいても、データ上は人民元の構成通貨入りの可能性は低いと言える。


◆構成通貨入りはIMF加盟国が参加する理事会に決定権限があるため、中国当局は人民元の構成通貨入りによって想定される課題に事前に対処することを通じて、各国にアピールする必要がある。具体的には、①流動性の確保と人民元の短期金利の安定化、②為替レートの自由化、③各国中銀等による中国本土に対する投資制限の緩和、といった課題が挙げられる。


◆中国当局も人民元の構成通貨入りに向けて、資本取引の自由化や人民元を自由利用可能通貨にするための改革を積極化させるスタンスを示している。他方で、「管理された人民元の自由化」を目指すとも述べているように、改革は資本取引や人民元の完全なる自由化を意味するわけではない。特に6月以降の株価下落に伴い、改革への慎重論が高まりつつあることから、SDR見直し議論が本格化する中で、改革が実際に進展するかが焦点となろう。

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