2015年10月30日
サマリー
◆11月に開催されるIMFのSDR構成通貨見直し理事会において、中国人民元が構成通貨入りするかが注目されている。IMFのSDR非公式理事会ペーパーを見ると、既存の指標でもIMFが提案した新たな指標でも、人民元がSDR構成通貨の要件を確実に満たすとは言い切れない。そのため、IMFは人民元のSDR構成通貨入りをサポートするために中国に様々な金融改革を要請しており、中国当局も人民元レートの算出方法の変更といった改革を実施することでその要請に応えている。
◆IMFと中国は互いに協力しながら、人民元の構成通貨入りに向けた努力を継続している。IMFと中国の協力関係の背景には、SDR構成通貨入りを通じて、人民元を既存の国際金融秩序に組み込むとともに、中国の金融改革を積極化させようとするIMF側の思惑があると考えられる。また、中国当局にとっても人民元のSDR構成通貨入りは、人民元の国際化の象徴という意味合いだけでなく、AIIBといった中国独自の対外戦略を推し進める上で重要なツールとなる可能性があると言えよう。
◆各国にとっても、人民元のSDR構成通貨入りは千載一遇のビジネスチャンスとなっている。例えば、英国は人民元のSDR構成通貨入り後を見据え、構成通貨入りをサポートすることによって、人民元建て中国人民銀行債の発行やRQFII(人民元適格海外機関投資家)枠を拡大するなど人民元ビジネスの積極化を図っている。
◆翻って、日本は人民元ビジネスにおいて足元では各国よりも立ち遅れている。10月の楼継偉財務部長に対する麻生財務大臣の日本での人民元クリアリングバンクやRQFII枠の設定リクエストから、日本も人民元のSDR構成通貨入りを前提に、人民元ビジネスを推し進めようとする意図がうかがえよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
「資産形成と成長の好循環」のための金融・資本市場の方向性
社債市場の活性化と家計の資産構成見直しが重要
2026年05月29日
-
反対3名で日銀は金利据え置きを決定
政策委員の投票行動による政策変更のシグナル
2026年05月07日
-
インフレ懸念vs.景気下押し懸念
金融政策の舵取りは複雑化も、予防的利上げが必要
2026年04月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

