サマリー
◆6月中旬の上海銀行間取引金利(SHIBOR)の急騰は、リスクが高いと目される資金調達の急増や金融秩序の乱れに対する金融当局の不快感を表明し、金融秩序の回復を促すためであったと考えられる。しかし、6月24日には上海総合株価指数が前日比5.3%の急落を演じた。金融秩序の回復に向けた措置が、金融・資本市場の混乱を招いたのである。これを受けて、中国人民銀行が短期金融市場への資金供給を再開するなど事態の沈静化に努めた結果、7月11日のSHIBOR翌日物金利は3.35%と、今回の騒動が始まる前の水準をも下回った。短期金融市場の混乱はひとまず収束したのである。
◆潜在的な不良債権の認識やその抜本的な処理については、手付かずのままである。おそらく、政府(省レベル)との関係が密接な貸出先に対しては、少なくとも今後1年~2年はロールオーバー(借り換え)によって、返済期限の長期化と分散化が図られよう。この点で当面はリスクが暴発する可能性は低い。
◆しかし、潜在的な不良債権の認識や抜本的な処理を行うまではリスクを抱えたままということには、注意が必要である。恐らく、中国政府が問題債権の洗い出しとその抜本的処理を行う段階で、中国の金融・資本市場は再び動揺し、経済成長率も大きく低下する公算は大きい。第二幕への警戒を怠るべきではない。しかし、これは中国の金融改革が大きな一歩を踏み出すことを意味する。並行して金利自由化を行うことも重要である。そうでなければ、現在の疑心暗鬼が晴れず、チャイナリスクの喧伝が続くことになろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:飲食業景気指数が過去最低に
内巻(破滅的な価格競争)の悪影響は中小型店に集中
2026年04月24日
-
中国:2026年は政府成長率目標の下限か
ただし、中東情勢緊迫長期化で下振れリスク高まる
2026年04月21日
-
中国:26年1Qは予想外の堅調で5%成長
ただし、中東情勢緊迫長期化なら政府目標4.5%~5%成長は困難に
2026年04月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

