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地方政府目標から炙り出す中国経済の問題点

投資偏重とユニット・レーバー・コストの上昇

2013年03月08日

経済調査部 主席研究員 齋藤 尚登

サマリー

◆地方政府の2013年の主要経済目標をみると、成長率目標は2012年の目標より下げられたところが多いが、それでも中部と西部は固定資産投資を牽引役に10%以上の高成長を目指している。2013年の固定資産投資増加率目標を2012年から引き上げた地方が散見されるのは、要注意である。習近平・李克強政権の本格始動で新たな投資ブームが到来するとの「根拠のない期待」の表れの可能性があるためである。投資に過度に依存した経済成長は、既に投資効率の低下や製品の供給過剰問題の深刻化を招いている。今後は、老朽化し環境基準に満たない設備の淘汰を前提に、エネルギー効率が高く環境負荷の低い質の良い設備の導入、そして産業構造の高度化に寄与する投資が行われなければならない。


◆中国のユニット・レーバー・コストは上昇傾向にあり、特に2011年は大きく上昇した。地方政府が決定する最低賃金は、地域毎の大まかな設定はあっても、産業別の区別はなく、単一水準が適用されている。2015年までの第12次5ヵ年計画では、年平均13%の最低賃金引き上げが目標とされており、残念ながら、目標が先にありきで、労働生産性の上昇を十分に加味した設定は行われていない。迂遠な道のりになるかもしれないが、消費主導の持続的安定成長の実現には、労働生産性の向上に見合った賃金上昇が肝要である。地方政府が最低賃金を決定する方法は早急に改められる必要があろう。

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