サマリー
◆2013年3月5日から開催される全国人民代表会議を前に、地方政府は1月下旬から順次会議を開催し、2013年の成長目標などを検討している。中央政府の成長目標は2012年に7.5%まで引き下げられたが、2013年の各省の実質GRP(域内総生産)成長率目標は、依然として2桁が大勢である。消費・投資のバランスにも大きな変化はみられない。ただ、中央政府は、習近平総書記就任以降、より国民の生活の質を向上させることを徹底しており、それに呼応するように都市化促進を掲げたり、可処分所得の引き上げを指示したりする省が増えている。
◆消費の健全な活性化も一つの課題とされているが、中国の年間を通した消費シーズン(国慶節から春節)が終わった。今年の春節では、消費者物価の上昇を招く食品・装飾品などの売れ行きは落ち着いた水準に留まった。その分、ハイテク機器の売上や観光など娯楽への出費は拡大している。定番の観光地に出向く傾向があり、公共機関より自家用車を多く利用したとみられる。また、9割がアジアの近場という海外旅行者が増えたことは、中所得者層の広がりの表れと捉えられ、新たなサービス産業の成長を期待できる環境が整いつつあることを示すものだろう。なお、家電に関しては、5月にも春節と同等か、やや高めの需要が訪れるサイクルになっている。年前半の家電に代表される消費動向には期待ができ、循環型経済社会の構築の一翼を担う省エネ家電購入を補助する政策や投資の活発化も見込めよう。
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