サマリー
◆12月9日に発表された中国の11月の主要統計は、しっかりとした回復を示しており、特に重工業や不動産開発にもポジティブな材料が見受けられたことは安堵感が広がる内容だっただろう。投資などでは、伸びが落ち着く項目もあったが、投資バブルを警戒する中国政府としては“質”を重視する故に、さほど気に掛ける部分ではないと考えられる。よって、利下げなどによる金融緩和の可能性は足元では低下している。
◆その一方で、課題が明確になっている。小型企業の先行き不透明さを解消するには時間がかかりそうだ。そもそも、旧正月の時期を過ぎると、雇用需給環境が悪化する傾向にあるが、足元の水準を考えると、外部環境が大きく好転しない場合は、年明け以降も、沿岸部の小規模の輸出産業には厳しい季節が続くだろう。
◆中国政府は、戦略的七大産業や中小企業の支援、外部需要の取り込みのために、習近平・総書記と縁の深いECFA(両岸経済協力枠組み協定)や李克強・次期首相が核となっていたCEPA(香港・中国本土の経済貿易緊密化協定)の深化を推進するのではないだろうか。
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