サマリー
◆5月の経済指標は、好転を確認できるほどの兆候は見られなかった。一部では中国政府の政策効果が景気鈍化をカバーしているようにも受け止められる。6月8日に3年半ぶりに実施された利下げは、金利設定の自由度を高め、預金者保護と融資拡大を両立し、景気下支えの大きなアナウンスメント効果となっただろう。この効果を盾に、中国政府は、消費刺激策などを経済成長の巡航速度の引き下げ(成長力の健全化)の微調整役として扱い、小出しにするだろう。
◆また、この調整局面を利用して、中国政府は金融市場の改革を着々と進めている。長期的な戦略であるが、中国が世界の覇権を名実ともに得るには、産業構造の転換と対外開放を前進させ、“中国企業の国際化”を図る必要がある。そのための土台作りと言えよう。足元の景気鈍化が鮮明になれば、間接的な企業活動の刺激策として金融市場改革速度は前倒しされる可能性もあろう。
◆また、この調整局面を利用して、中国政府は金融市場の改革を着々と進めている。長期的な戦略であるが、中国が世界の覇権を名実ともに得るには、産業構造の転換と対外開放を前進させ、“中国企業の国際化”を図る必要がある。そのための土台作りと言えよう。足元の景気鈍化が鮮明になれば、間接的な企業活動の刺激策として金融市場改革速度は前倒しされる可能性もあろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:力不足、あるいは迷走する政策と景気減速
依然不透明なトランプ関税2.0の行方
2025年08月22日
-
中国:年後半減速も2025年は5%前後を達成へ
不動産不況、需要先食い、トランプ関税2.0の行方
2025年07月22日
-
中国:内巻(破滅的競争)と上乗せ関税の行方
追加関税大幅引き下げでも製造業PMIは50割れが続く
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日