中国:欧州リスク顕在化でも金融財政に出動余地

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2011年10月20日

サマリー

◆欧州財政危機の深刻化により、世界的に景況感が悪化している。世界同時不況の再来リスクが懸念されるが、リスクシナリオが実現したとしても、中国にはそれに立ち向かうだけの金融・財政政策出動余地があるという強みがある。

◆「高すぎ」との評価もなされている預金準備率の「引き下げ」は、実現に向けたハードルは低く、これは中国が内需「刺激」を重視し始めることのシグナルとなろう。物価上昇ピッチの減速が確認できれば、利下げの可能性も高まる。財政出動余地も残されている。2010年の財政赤字は6,772.7億元だったが、GDP比3%までの赤字を許容すれば、1兆1,951.7億元と、2010年の実績でみてもおよそ5,179億元の財政出動余地がある計算となる。2008年11月に発表された4兆元の景気対策における中央政府の新規公共投資額が2年間で1.18兆元であったことを考えると、財政赤字を大きく拡大させることなく、それに近い金額の財政出動を行うことが可能であることが分かる。

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