サマリー
◆欧州財政危機の深刻化により、世界的に景況感が悪化している。世界同時不況の再来リスクが懸念されるが、リスクシナリオが実現したとしても、中国にはそれに立ち向かうだけの金融・財政政策出動余地があるという強みがある。
◆「高すぎ」との評価もなされている預金準備率の「引き下げ」は、実現に向けたハードルは低く、これは中国が内需「刺激」を重視し始めることのシグナルとなろう。物価上昇ピッチの減速が確認できれば、利下げの可能性も高まる。財政出動余地も残されている。2010年の財政赤字は6,772.7億元だったが、GDP比3%までの赤字を許容すれば、1兆1,951.7億元と、2010年の実績でみてもおよそ5,179億元の財政出動余地がある計算となる。2008年11月に発表された4兆元の景気対策における中央政府の新規公共投資額が2年間で1.18兆元であったことを考えると、財政赤字を大きく拡大させることなく、それに近い金額の財政出動を行うことが可能であることが分かる。
◆「高すぎ」との評価もなされている預金準備率の「引き下げ」は、実現に向けたハードルは低く、これは中国が内需「刺激」を重視し始めることのシグナルとなろう。物価上昇ピッチの減速が確認できれば、利下げの可能性も高まる。財政出動余地も残されている。2010年の財政赤字は6,772.7億元だったが、GDP比3%までの赤字を許容すれば、1兆1,951.7億元と、2010年の実績でみてもおよそ5,179億元の財政出動余地がある計算となる。2008年11月に発表された4兆元の景気対策における中央政府の新規公共投資額が2年間で1.18兆元であったことを考えると、財政赤字を大きく拡大させることなく、それに近い金額の財政出動を行うことが可能であることが分かる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:関税引き下げを受け、見通しを上方修正
25年は3.9%→4.8%、26年は4.0%→4.2%に上方修正
2025年05月23日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
-
中国:トランプ関税2.0で25年は3.9%成長へ
迂回輸出は当面温存。「トランプ関税2.0」の長期化は想定せず
2025年04月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日