個人株主の議決権行使比率は高められるか

「飛び道具」は無いため、株主負担の地道な引き下げが重要

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サマリー

◆個人株主の議決権行使比率は緩やかな上昇傾向にあるものの、水準としては40%程度となお低く、さらなる引き上げの余地がある。個人株主は一人当たりの持株比率が低く、議決権行使の意義や便益を感じにくい上、足元では平均保有銘柄数が増加しており、各種書類に目を通す負担も大きくなっていると考えられる。

◆議決権行使比率を高めるような画期的な手段はなく、基本的には議決権行使の便益(議決権行使の意義など)を強調したり、議決権行使のための「費用」(招集通知等を読み解く精神的負担、議決権行使にかかる時間的負担など)を引き下げたりすることが数少ない対策となる。なお、議決権行使を行った株主に金券等を送付する例もあるが、いわゆる委任状争奪戦の最中の株主総会において金券を送付した事例について、送付の意図をめぐって問題となったこともある。特殊性の強い事例ではあるものの、金券等の送付を検討する際には注意が必要だろう。

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