2023年01月23日
サマリー
米国におけるリテール金融のパラダイムシフトは既存のビジネスモデルの分解から始まった。「顧客にとっての付加価値の追求」と、「金融機関にとっての儲ける仕組みの追求」が別々の要素に分かれたのである。この2つの要素のバランスを調整するだけなら既存のビジネスモデルを修正すればよい。しかし、顧客の利益に反する不祥事等に起因して、規制強化が急速に進む中で、顧客本位の業務運営の必要性が高まった。その結果、顧客にとっての「付加価値の追求」に比重を移す、ビジネスモデルの大きな変革が必要となった。これに顧客ニーズ対応のカスタム化、パーソナル化を可能にするテクノロジーの進化が加わることで、リテール金融のパラダイムシフトが起きた。
大手証券をはじめとする米国リテール証券業界では、ここ10年で、金融商品を単品で売買するブローカレッジ中心の“フローのビジネス”から資産管理型中心の“ストックのビジネス”への移行が進んでいる。投資アドバイスがコモディティ化する中、顧客本位の業務運営に向けた規制の強化によって、ファイナンシャル・アドバイスの付加価値が高まっており、それがリテール証券業界のパラダイムシフトにつながっている。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
CGコードでの現預金保有の検証に対する上場会社の懸念
一見対立しているようだが、通底する投資家と会社側の意見
2025年11月07日
-
非上場株式の発行・流通を活性化する方策
「スタートアップ企業等への成長資金供給等に関する懇談会」が報告書を公表
2025年10月29日
-
親子上場などに関する開示議論の再開
不十分な開示状況に対して、開示項目の記載必須化に向けた議論も
2025年10月27日

