指定金融機関の分布地図からみる地域経済圏あるいは金融勢力圏

地銀が6割を占めるが、都市銀行や信金、農協の存在感が高い地域も

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サマリー

◆1つの地方自治体に唯一指定される指定金融機関は自治体の税公金にかかる収納・支出を取り扱う。税公金を扱うに十分な経営基盤、行政区域内の拠点網を備える必要がある。指定金融機関を同じくする自治体は互いに隣接し地域的なまとまり、クラスタを形成している。自治体のメインバンクは地域経済のメインバンクでもある。

◆全国1,741市区町村の指定状況からいくつかの特徴が窺えた。業態別にみると最大勢力は地方銀行で全体の約6割を占める。一方、3大都市圏では都市銀行の指定シェアが他を凌駕している。北海道は信用金庫の指定シェアが銀行の倍で、中部地方にも信用金庫の集積がある。地方の町村部においては農業協同組合(系統金融機関)が指定金融機関を担うケースが多くシェア上位4県は銀行の指定数を上回る。

◆指定金融機関のクラスタから窺える地域経済圏は必ずしも都道府県域と一致しない。県内に複数の経済圏があるケース、経済圏が県域を越境するケースがある。都市の勢力が町村部に及ばずそれぞれの経済圏が分かれるケースもある。地域経済圏にはその特性に応じたメインバンクが存在する。経済圏と金融機関の対応関係は、自治体の経済振興策におけるパートナー候補の把握や金融再編の検討にあたっての参考情報となる。

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