2022年02月04日
サマリー
◆米国SECが経営者報酬に関する開示規則案を1月27日に公表した。2010年に成立したドッド・フランク法に基づく規則だが、トランプ政権時代にストップしていた検討を再開した格好だ。
◆規則案では、「経営者の報酬決定にあたって企業が用いる最も重要な指標(Company-Selected Measure)」の5年間のデータを開示するとともに、他に報酬決定に用いる指標があれば最大5つまで開示することが求められている。
◆SEC委員の談話では、その指標としてESG関連の要素を含めることが期待されている。この規則が施行されれば、ESG指標を経営者報酬の決定に関連付けている企業かどうかが分かるようになる。しかし、委員の中には、この規則案はSECの権限を越えているという指摘もある。
◆日本では、人的資本や男女間賃金格差に関する情報開示ルールの検討を岸田首相が提案している。経営者報酬との関連を開示させる点で米国の新規則案は、企業によるESGへの取り組みを加速する方策として、わが国でも今後の検討課題となるかもしれない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
社長の報酬は社員の何倍?
—米英で分かれたペイレシオ開示政策—
2017年09月21日
-
経営者報酬に関する情報開示を見直し—トランプ政権における規制緩和政策①
SEC委員長代行がPay Ratio開示規則の緩和検討を指示
2017年02月09日
-
企業ガバナンス改革の国際動向
~引き続き経営者報酬問題へ高い関心~『大和総研調査季報』 2012年夏季号(Vol.7)掲載
2012年09月03日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年上半期の配当方針等の変更と株価
減益予想が増えるも、累進配当やDOE採用による増配効果が下支え
2025年07月03日
-
CGコードの見直しで会社の現預金保有に焦点
現預金の必要以上の積み増しについて検証・説明責任の明確化を検討
2025年06月24日
-
グロース市場改革を企業はどう捉えているか
投資家ニーズを汲み上げ、株価を意識的にデザインする必要性
2025年06月13日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日