2020年05月27日
サマリー
◆新型コロナウイルス感染拡大に伴う企業・消費活動の大幅な縮小により、企業の資金繰りのひっ迫が危惧されている。5月中旬までに公表されたデータを用いて企業の資金調達動向を振り返ると、特に負債での調達が活発に行われていたことを指摘できる。
◆【負債調達】借入や社債・コマーシャルペーパー(CP)の発行は3月から4月にかけて増加している。CPの発行金利やクレジット・デフォルト・スワップのスプレッドは一時大きく上昇したものの、種々の政策対応もあり、足元では落ち着きを取り戻している。ただし、格付け見通しの引下げが相次いでおり、格付けの動向が中央銀行や金融機関から企業に対する資金の供給を妨げるものにならないか注視が必要である。
◆【資本調達】株式の発行に目立った増加は見られない。市場の動揺を受けてIPOの延期または中止が相次いでおり、リーマン・ショック時よりも短期間でより多くの案件が影響を受けている。
◆【BOX】契約先数が増加しているコミットメントラインの動向を整理した。コミットメントラインからの資金の利用が急増した場合、自己資本比率の下押しを通じて銀行の資金供給能力を制約する可能性がある点に注意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
企業の再生支援を後押しする金融検査マニュアルの廃止
ポストコロナの借入環境を見据える
2020年05月12日
-
バーゼルⅢ最終化、適用を1年延期
新型コロナウイルスの影響受け。必要あれば追加措置も
2020年04月02日
-
消費データブック(5/19号)
個社データ・業界統計・POSデータで足元の消費動向を先取り
2020年05月19日
同じカテゴリの最新レポート
-
意見分かれるグロース市場の上場維持基準見直し案
2025年9月に制度要綱が公表予定
2025年07月28日
-
2025年上半期の配当方針等の変更と株価
減益予想が増えるも、累進配当やDOE採用による増配効果が下支え
2025年07月03日
-
CGコードの見直しで会社の現預金保有に焦点
現預金の必要以上の積み増しについて検証・説明責任の明確化を検討
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
-
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
-
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
のれんの償却・非償却に関する議論の展望
2025年07月07日
日本経済見通し:2025年7月
25年の賃上げは「広がり」の面でも改善/最低賃金の目安は6%程度か
2025年07月22日
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
新たな相互関税率の適用で日本の実質GDPは短期で0.8%、中期で1.9%減少
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.7%減少
2025年07月08日