企業の再生支援を後押しする金融検査マニュアルの廃止
ポストコロナの借入環境を見据える
2020年05月12日
サマリー
◆2019年12月、これまで金融機関の貸出債権の査定や引当の方法を規定してきた金融検査マニュアルが廃止された。以降、金融機関はそれぞれの経営理念・戦略を反映させた引当判断を行うことが可能となっている。足元では新型コロナウイルスの感染拡大への対応で、目立った変化は見られていないものの、危機対応が一服すれば徐々に金融機関独自の債務者の区分や引当の判断が行われるようになるとみられる。
◆金融検査マニュアルの廃止後の対応として、当局は各金融機関の特性を踏まえた引当判断を尊重して検査を行うとしており、実績値だけではない幅広い情報を踏まえた引当判断や貸出先との関係性を加味した引当判断の例をディスカッション・ペーパーで挙げている。
◆こうした変化は特に新型コロナウイルス感染拡大の影響で財務状況が悪化した企業の再生支援に影響を及ぼすと考えられる。企業が実績の財務状況にとどまらず、経営の方向性や事業の見通しなどを積極的に金融機関と共有することで、金融機関の目利き力を引き出していくことが再建の手段になり得ると考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2021年01月26日
銀行等の業務範囲・5%ルールなどの見直し
銀行制度等WG報告
-
2021年01月25日
2021年のASEAN5経済見通し
景気回復は年後半に加速。懸念が多いタイとフィリピン。
-
2021年01月25日
税金読本(16-2)税務署への財産債務の申告と国外転出時みなし譲渡益課税
-
2021年01月22日
金融商品の評価
金融商品の価値はどのように算定するのか?
-
2021年01月27日
多様性を受容する社会は、きっと創造的で成長性の高いものになる
よく読まれているリサーチレポート
-
2020年12月17日
2021年の日本経済見通し
+2%超の成長を見込むも感染状況次第で上下に大きく振れる可能性
-
2020年12月01日
2020年10月雇用統計
有効求人倍率が1年半ぶりに上昇
-
2020年11月20日
日本経済見通し:2020年11月
経済見通しを改訂/景気回復が続くも、感染爆発懸念は強まる
-
2020年08月14日
来春に改訂されるCGコードの論点
東証再編時における市場選択の観点からも要注目
-
2020年10月15日
緊急事態宣言解除後の地域別観光動向/Go To トラベルキャンペーンのインパクト試算
ローカルツーリズムが回復に寄与するも、依然厳しい状況が続く