企業の再生支援を後押しする金融検査マニュアルの廃止

ポストコロナの借入環境を見据える

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サマリー

◆2019年12月、これまで金融機関の貸出債権の査定や引当の方法を規定してきた金融検査マニュアルが廃止された。以降、金融機関はそれぞれの経営理念・戦略を反映させた引当判断を行うことが可能となっている。足元では新型コロナウイルスの感染拡大への対応で、目立った変化は見られていないものの、危機対応が一服すれば徐々に金融機関独自の債務者の区分や引当の判断が行われるようになるとみられる。

◆金融検査マニュアルの廃止後の対応として、当局は各金融機関の特性を踏まえた引当判断を尊重して検査を行うとしており、実績値だけではない幅広い情報を踏まえた引当判断や貸出先との関係性を加味した引当判断の例をディスカッション・ペーパーで挙げている。

◆こうした変化は特に新型コロナウイルス感染拡大の影響で財務状況が悪化した企業の再生支援に影響を及ぼすと考えられる。企業が実績の財務状況にとどまらず、経営の方向性や事業の見通しなどを積極的に金融機関と共有することで、金融機関の目利き力を引き出していくことが再建の手段になり得ると考えられる。

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