2019年12月26日
サマリー
◆金融庁の金融行政方針で、預金保険料の可変料率化を検討する旨が記載された。目的を「規律付け・インセンティブ付与のため」としている。可変料率は破綻リスクに応じた保険料率を適用する仕組みで一律保険料率よりも公平性の観点から望ましい。とはいえ、可変料率は制度設計の自由度が大きく、明確にすべき論点は多岐にわたる。
◆一定の仮定のもとで可変料率化の地方銀行の収益への影響を試算すると、健全性下位行の保険料率の変化幅によって健全性上位行の業務純益の押し上げ幅が異なることが示された。
◆もっとも、可変料率化の前提となる論点も明らかになっておらず、どのような制度が導入されるかは現状では判然としない。可変料率が導入され、業務純益が押し上げられる銀行が生じたとしても、当局や市場が注目しているのはそうして得た資源を将来にわたる収益性の構築につなげられるか否かだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
地銀の店舗は付加価値を保てるのか
低下する存在意義と進展が見られない効率化
2019年09月30日
-
地銀の店舗網はどのように再編できるか
GIS(地理情報システム)を用いた空間分析で地銀の店舗網再編を考える
2019年10月02日
-
中期経営計画から見る地域銀行の本質的課題
『大和総研調査季報』 2019年夏季号(Vol.35)掲載
2019年07月23日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
-
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
-
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
-
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
-
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
中国経済:2023年の回顧と2024年の見通し
24年の成長率目標は5%か?達成の鍵は民営企業へのサポート強化
2023年12月21日
2024年の米国経済見通し
①個人消費の腰折れ、②インフレ率の高止まり、③政治の停滞がリスク
2023年12月21日
2024年度税制改正大綱解説
定額減税は経済対策としては疑問だが、インフレ調整策としては有効
2023年12月25日
四半期報告書の廃止に関する改正法の成立
四半期報告書が廃止された後の四半期決算短信の内容は?
2023年12月04日