2019年12月26日
サマリー
◆金融庁の金融行政方針で、預金保険料の可変料率化を検討する旨が記載された。目的を「規律付け・インセンティブ付与のため」としている。可変料率は破綻リスクに応じた保険料率を適用する仕組みで一律保険料率よりも公平性の観点から望ましい。とはいえ、可変料率は制度設計の自由度が大きく、明確にすべき論点は多岐にわたる。
◆一定の仮定のもとで可変料率化の地方銀行の収益への影響を試算すると、健全性下位行の保険料率の変化幅によって健全性上位行の業務純益の押し上げ幅が異なることが示された。
◆もっとも、可変料率化の前提となる論点も明らかになっておらず、どのような制度が導入されるかは現状では判然としない。可変料率が導入され、業務純益が押し上げられる銀行が生じたとしても、当局や市場が注目しているのはそうして得た資源を将来にわたる収益性の構築につなげられるか否かだろう。
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