銀行等の中長期債取得額が低水準に

国際収支統計・金融収支動向(2017年10-12月期)

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サマリー

◆2017年10-12月期(今四半期)の金融収支の注目点は、対外証券投資において預金取扱機関が中長期債を売り越したことである。預金取扱機関のうち、銀行等(銀行勘定)の12月の取得額は2008年5月以来の低水準であり、FRBの利上げにより米国の金利上昇(債券価格下落)が予想されていたことが背景の一つと考えられる。


◆金融収支は+2.4兆円の黒字(対外純資産増)だった。近年の日本の経常収支黒字の大部分は直接投資収益や証券投資収益などの第一次所得収支であり、2017年の直接投資収益は現行統計で過去最高となった。


◆対外直接投資は+4.6兆円の取得超だった。前四半期に続き、収益の再投資が現行統計で過去最高を更新しており、国内への収益の還流よりも海外子会社の内部留保の蓄積が続いていると思われる。


◆その他投資の資産サイドでは、貸付(長期)が2四半期連続の回収超となっている。その他投資の負債サイドでは借入(短期)の流出額増加(返済超)を主因に、流出超となった。銀行等の中長期債取得額が低調だったことが一因となっている可能性がある。

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