2018年02月15日
サマリー
◆2017年10-12月期(今四半期)の金融収支の注目点は、対外証券投資において預金取扱機関が中長期債を売り越したことである。預金取扱機関のうち、銀行等(銀行勘定)の12月の取得額は2008年5月以来の低水準であり、FRBの利上げにより米国の金利上昇(債券価格下落)が予想されていたことが背景の一つと考えられる。
◆金融収支は+2.4兆円の黒字(対外純資産増)だった。近年の日本の経常収支黒字の大部分は直接投資収益や証券投資収益などの第一次所得収支であり、2017年の直接投資収益は現行統計で過去最高となった。
◆対外直接投資は+4.6兆円の取得超だった。前四半期に続き、収益の再投資が現行統計で過去最高を更新しており、国内への収益の還流よりも海外子会社の内部留保の蓄積が続いていると思われる。
◆その他投資の資産サイドでは、貸付(長期)が2四半期連続の回収超となっている。その他投資の負債サイドでは借入(短期)の流出額増加(返済超)を主因に、流出超となった。銀行等の中長期債取得額が低調だったことが一因となっている可能性がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
預金取扱機関の外債処分の動きは一段落か
国際収支統計・金融収支動向(2017年4-6月期)
2017年08月15日
-
対外直接投資の収益の再投資が過去最高に
国際収支統計・金融収支動向(2017年7-9月期)
2017年11月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
成長と新陳代謝を促進するグロース市場改革
スタンダード市場への影響も注視
2025年05月12日
-
「少額投資の在り方に関する勉強会」報告書
東証は上場会社、投資家向けの情報発信などを強化
2025年04月28日
-
IR体制の整備の義務化
パブリック・コメントの開始/7月を目途に実施予定
2025年04月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日