2015年12月01日
サマリー
世界では社債市場の規模が拡大しつつあるが、日本社債市場は2000年代以降、伸び悩んでいる。日本社債市場の構造的な問題として、銀行部門が社債全体の4割超を保有しており投資家層が偏っていること、流通市場の厚みがなく流動性が欠けること、事実上、財務安定性の高い企業しか社債が発行できない(ハイ・イールド債市場がない)ことなどが挙げられる。
日本社債市場の活性化は、企業の資金調達の多様化や投資家の運用多様化につながる、非常に重要な課題である。日本証券業協会では社債市場を活性化するため、2009年に「社債市場の活性化に関する懇談会」を立ち上げ、社債市場の構造的な問題の改善に向け、様々な取り組みを行っている。それらの取り組みは始まったばかりであるが、今後も定期的に見直しや改善を行うことが求められる。
アジア諸国でも資金需要の高まりから社債市場は拡大しており、日本がアジアの中で資金調達の場として(投資家から見た資産運用の場として)いかに存在感を高めていくかも、今後の課題である。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
海外ハイイールド債市場の動向
投資先の選別が進む可能性
2016年01月21日
-
わが国社債市場の位置づけと活性化策[2]
~社債市場活性化策-議論から実行へ~『大和総研調査季報』 2015年秋季号(Vol.20)掲載
2015年12月01日
同じカテゴリの最新レポート
-
日銀のETF売却とスチュワードシップ責任
超長期投資家となる日銀のスチュワードシップ責任の果たし方
2025年09月26日
-
日本銀行がETF・J-REITの市場売却を決定
100年以上かけた超長期売却計画には備えが必要
2025年09月22日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日