6月日銀短観から読み解く企業の資金繰り

企業金融関連DIは高水準を維持

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サマリー

◆日本銀行から全国企業短期経済観測調査(短観)の2015年6月調査結果が発表された。企業金融関連DIは、資金繰り判断DIが12%pt、金融機関の貸出態度判断DIが20%ptとなった。ともに前回調査から横ばいで、高水準を維持した。借入金利水準判断DIは足元の金利上昇を反映し、前回調査から4%ptプラスの-7%pt(最近)となった。ただし、先行き判断は前回調査から1%ptプラスに留まっていることから、金利先高観はさほど強くないようだ。


◆今回、2015年度の売上高計画が1.0%pt下方修正された。売上高計画が下方修正されると企業の資金繰り判断DIも低下する傾向があるが、今回は低下しなかった。これは、企業の資金需要が伸び悩む一方で、金融機関から資金調達しやすい環境が継続したためとみられる。


◆生産・営業用設備判断DIおよび雇用人員判断DIは前回調査からプラス(不足と回答した企業の構成比が低下)であり、設備や人員の不足感低下から、資金需要が伸び悩んだ可能性が考えられる。ただし、両DIの先行きはマイナスに転じており、2015年度の設備投資計画も上方修正されていることから、資金需要の伸び悩みは一時的なものと推測される。先行きは資金需要の増加が見込まれるが、一方で、売上高計画が上方修正されない場合、資金繰り判断DIが低下していくこともあり得るだろう。

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