2014年12月10日
サマリー
◆本稿の前編(上)では、ASEAN経済共同体の創設による金融資本市場の統合によって各国の規制等の調和化・相互承認が進み、域内の証券取引所間の競争が激しくなることを指摘した。後編(下)では各国の証券取引所の現状とその取組みを考察する。
◆各国の証券取引所のビジョンや足元の取組みは多様であるが、整理するとシンガポール取引所・マレーシア取引所・タイ証券取引所はアジアの成長を取り込みたい外国人からの投資のゲートウェイとしての役割を競う一方で、フィリピン証券取引所、インドネシア証券取引所は、まずは世界基準を満たした証券取引所を目指している。
◆前段の三つの証券取引所ではゲートウェイの範囲が異なり、シンガポール取引所はアジア、マレーシア取引所はASEAN、タイ証券取引所はメコン地域と特色が出ている。
◆今後の域内証券取引所の動向を展望すると、①証券取引所間の優勝劣敗が進む、②証券取引所毎の機能的な棲み分けが進む、という二つのシナリオが考えられる。
◆ある程度の取引はASEANの金融センターとしての地位を固めつつあるシンガポール取引所やタイ証券取引所などに集まる可能性があるが、一極集中とまではいかず、証券取引所毎の機能的な棲み分けも進むと予想される。
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