2012年11月13日
サマリー
◆2008年後半から原油高・原材料価格の高騰による企業収益状況の悪化や、サブ・プライムローン問題に端を発する金融危機などを受け、中小企業の資金繰りを支える政策が相次いで実施されてきた。
◆一連の金融支援策は時限的に導入されたものであることから、徐々に縮小に向かい始めている。例えば、セーフティネット保証第5号は、2012年11月から利用可能な企業の範囲が縮小、中小企業金融円滑化法(以下、円滑化法)も2013年3月末に失効が予定されている。どちらの制度も、中小企業の1割程度が利用していると推測されている。セーフティネット保証第5号に関しては30~40万社程度、円滑化法の失効は6~8万社程度の企業が影響を受ける可能性がある。
◆影響を受ける企業数は多いものの、セーフティネット保証第5号の指定業種の縮小に関しては受け皿となり得る「経営力強化保証」が創設されていること、円滑化法失効に関しては貸出条件緩和債権の例外要件は変更されないことなどから、倒産にまで至る企業は限定的と考えられる。
◆しかし、倒産件数では測れない、隠れた市場退出は増加する可能性がある。金融支援策の縮小などにより将来的な資金調達コストの増加が予想される一方、収益力の向上が見込めないのであれば、債務弁済が可能なうちに廃業を選択する企業は少なくないだろう。廃業により雇用や技術が消失しないよう、受け皿を確保する支援が求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
資本性借入金の効果と副作用
中小企業の資金繰りが改善する可能性と不良債権増加の危険性
2013年02月04日
-
中小企業金融円滑化法の失効で何が変わるのか
経済全体への影響は限定的だが、他の中小企業金融支援策の影響に注意
2012年05月10日
同じカテゴリの最新レポート
-
CGコードでの上場会社と投資家の注目点は?
CGコードのパブリックコメントの結果から読み解く
2026年08月20日
-
中央銀行の透明性比較と熟議・説明責任の均衡点
ウォーシュ・レビューで読み解く中央銀行コミュニケーションの進化と再検討(下)
2026年08月14日
-
“Never explain, never excuse”から透明性へ
ウォーシュ・レビューで読み解く中央銀行コミュニケーションの進化と再検討(上)
2026年08月14日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

