2011年12月16日
サマリー
◆日本銀行から全国企業短期経済観測調査(2011年12月調査)が発表された。当該調査の企業金融の項目をみると、企業の資金繰り判断DIは2%pt、金融機関の貸出態度判断DIは7%ptと、ともに前回の9月調査から横ばいであった(全産業・全業種)。両DIは企業規模が大きいほど数値が高くなる(資金繰りが楽である・金融機関の貸出態度が緩い)が、前回調査に比べれば企業規模間の差が縮まる傾向がみられた。
◆借入金利水準判断(最近)も-5%ptと前回調査から横ばいであったが、先行き調査は1%ptであり、先行きの借入金利水準上昇を予想する企業がわずかに多い。
◆日本銀行が四半期に一度発表している「主要銀行貸出動向アンケート調査」の貸出運営スタンスDIは近年、過去3ヶ月、先行き3ヶ月ともにプラスで推移しており、銀行は貸出に積極的な姿勢をみせている。ただ、貸出運営スタンスDIは企業規模が小さいほど高く、全国企業短期経済観測調査の金融機関の貸出態度判断DIの結果とは逆である。資金を調達したい企業と、金融機関が資金を貸したい企業がうまく合致していない可能性が示唆される。
◆一般的に、企業規模が大きいほど信用力が高く、資金調達に複数の選択肢を持っており、資金の出し手も多い。中小企業への資金の出し手は、金融機関を除くと基本的に縁故者に限られてしまうものの、社債の発行等、資金調達経路の複線化により、資金調達コストの比較および削減を行うことは可能である。大企業に限らず、借入以外の資金調達経路の検討が必要ではないだろうか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
3月日銀短観から読み解く企業の資金繰り
次回調査では不動産向け貸出姿勢に変化が出るかに注目
2017年04月04日
-
3月日銀短観から読み解く企業の資金繰り
資金繰り環境が継続する一方で、業況感に先行き不透明感が生じる
2018年04月11日
同じカテゴリの最新レポート
-
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
-
CGコード改訂案に揺れる「現預金」の位置付け
機関投資家と上場会社で認識のズレが露呈
2026年03月18日
-
東証、オーナー企業の実態開示を拡充へ
資本関係、人的関係、経営関与の有無
2026年03月12日
最新のレポート・コラム
-
中国:26年1Qは予想外の堅調で5%成長
ただし、中東情勢緊迫長期化なら政府目標4.5%~5%成長は困難に
2026年04月17日
-
原油高の国内への波及経路と価格転嫁率を踏まえた消費者物価への影響
原油・天然ガス・石炭価格の10%上昇は物価を最大約0.3%押し上げ
2026年04月17日
-
令和8年金商法等改正法案 有価証券に関する不公正取引規制等の見直し
市場制度ワーキング・グループの提言がそのまま反映される
2026年04月17日
-
熊谷亮丸の経済・金融 Foresight 何故、円安・ドル高が止まらないのか?
中東情勢の混乱が続く中、円安と物価高・実質賃金低下の悪循環が継続するリスク
2026年04月16日
-
ホルムズ海峡封鎖で変わる世界地図—改めて問われる「成長投資」とは?
2026年04月17日
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

