2024年07月24日
サマリー
欧州では投資者保護規制強化によってアセット・マネジメント(AM)会社はビジネスモデルの変革を進めている。この背景には、MiFID II(第2次金融商品市場指令)でのターゲット顧客の特定を含むプロダクトガバナンス(PG)の高度化による最終投資家との徹底的な利益相反排除という規制圧力がある。加えて、販売会社(販社)には、AM会社にターゲット顧客層の情報を提供するなど、情報連携することが求められている。今後、リテール投資戦略の導入により、AM会社と販社は共に、バリュー・フォー・マネーや過剰なコストを排除した手数料決定プロセスの明確化といったさらなる規制圧力に晒される。コスト負担が増大するため、AM会社をグループに抱える金融機関はAM会社を売却する、あるいは一部機能をアウトソースするなどして対応している。これに対してグローバル大手AM会社はマルチ・アセットの戦略を提供するだけでなく、テクノロジーを活用してプラットフォーマーのサービスを提供している。日本では、金融審議会で資産運用会社等におけるPGの在り方について、MiFID IIが参照されて議論が進められているため、日本の資産運用業界にとって示唆深いと考えられる。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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