キャッシュレス化の現在位置と今後の展望

新紙幣発行の裏で進む一万円札の減少

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サマリー

◆日本の2023年のキャッシュレス決済比率は39.3%と過去最高を更新した。キャッシュレス決済比率を4割程度に引き上げるという政府の目標は2024年中に達成される公算が大きい。日本は現金志向が強く、当初、政府目標達成のハードルはかなり高いという見方が大勢であったが、それを覆す形で順調にキャッシュレス化が進展してきた。

◆キャッシュレス化の進展に貢献した具体的な支払い手段を確認すると、最も寄与度が大きいのはクレジットカードである。この背景には、ネットショッピングの利用拡大に加え、店舗での支払いにおける現金回避の動きなどがある。寄与度が2番目に大きいのはQRコードやバーコードを使うコード決済であり、2019年以降に利用が急増した。

◆紙幣の流通枚数に関しては、長期的に増加傾向にあった一万円札が2023年半ばから減少傾向にあることが注目される。銀行ATMの設置台数(総数)は減少傾向にあるが、業態別にはコンビニ銀行で増加傾向にあり、市場シェアの拡大が続く。日本の課題とされるキャッシュレス決済サービスの乱立状態については、企業の自前主義的な戦略などを背景に今後も継続すると見込まれる。

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