2023年12月08日
サマリー
◆キャッシュレス化や諸外国の「国民IDカード」に相当するマイナンバーカードを推進するためにポイントを還元・付与するというポイント政策は日本特有のものとみられる。日本人は、支払い方法の選択でポイントを重視する傾向が強く、そうした国民性を踏まえて、ポイントを活用しようというアイデアが浮上したと考えられる。
◆マイナポイントは、全体で1兆3,683億円相当が付与された計算となる。マイナポイント制度導入によるマイナンバーカードの交付枚数の押上げ効果は、カード申請終了1ヵ月後の2023年3月末時点で約5,380万枚と推計される。交付枚数に関しては、事前の大方の予想を大きく上回る結果になったと評価できる。
◆政府のポイント政策は、日本のキャッシュレス化の推進という点で一定の効果を発揮し、マイナンバーカードの取得拡大に貢献した。政策の課題としては、①「つぎはぎ政策」の様相となったこと、②費用対効果に改善余地、③「マイナ保険証」等の利便性が実感しにくいこと、④参加の有無による恩恵格差、が挙げられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
新マイナポイント制度の「利得性」の先に「利便性」はあるか?
2021年11月30日
-
「マイナポイント制度で一石三鳥」の現実味
2020年02月18日
-
キャッシュレス決済の「ポイント還元制度」の意義と課題
「消費増税の影響緩和」と「キャッシュレス化推進」の二兎を追えるか?
2019年09月11日
-
キャッシュレス新時代の扉を開くための6つの鍵
「トリプル・ウィン」の精神で全体最適の実現へ
2019年05月22日
-
「消費増税対策でキャッシュレス化推進」に潜む盲点
2019年08月20日
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日