ChatGPTがリテール金融ビジネスに及ぼす影響

大規模言語モデルの理解と補完ツールとしての活用方法の検証が必要

RSS
  • 金融調査部 研究員 森 駿介
  • デジタルソリューション研究開発部 田中 誠人

サマリー

◆ChatGPTは大規模言語モデル、あるいは生成AI・対話型AIと呼ばれるものであり、人間のように自然な言語を自動的に生成することができる。ChatGPTは革新的な技術だが万能ではなく、その特長や課題を正しく理解することが重要である。

◆生成AIはその汎用性の高さから、あらゆるビジネスに影響を与える可能性がある。本稿では、生成AIが得意とする業務を正確性・定型化の度合いから整理した上で、ビジネス活用の展開を3つのレベルに分けて考察した。金融サービスでは、公共性や社会的責任を果たすための慎重さと、時代に乗り遅れないためのスピード感の両方を意識することが求められる。

◆リテール金融ビジネスへの対話型AI導入が見込まれる中で、従来の営業員の仕事を代替するかが注目される。もっとも、特に投資アドバイスは正確性や説明可能性が求められる上に、顧客の感情面でのサポートは人間にしかできないことが多いため、むしろ補完的なツールとしての活用の余地が大きい。ただし、営業員向けの支援ツールとしての活用のみならず、顧客自身による対話型AIの利用を想定した取り組み事例も出てきている。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート