IIRC(国際統合報告委員会)
2013年03月29日
IIRC(The International Integrated Reporting Council:国際統合報告委員会)は、企業の財務情報と、非財務情報、いわゆるESG(環境・社会・コーポレートガバナンス)情報を統合した報告のフレームワークを開発している国際的な団体である。持続可能な社会の構築に向けた企業の取り組みと財務パフォーマンスを関連付けて体系的に開示する統合報告によって、事業活動とESGへの取り組みの関連性を明らかにすることを目的としている。従来の財務報告では短期的な視点で評価される傾向があること、過去の分析はできても将来のリスクや機会が見えにくいこと、などの課題がある。一方、CSR報告書では、様々なステークホルダーに資する情報があるものの、企業経営との関連性がわかりにくいという課題が指摘されている。
IIRCはチャールズ皇太子が立ち上げたAccounting for Sustainability(A4S)プロジェクトとGRI(Global Reporting Initiative)などによって2010年に設立され、企業・投資家・会計士団体・NGOなど、多様なステークホルダーが参加している。日本からは東京証券取引所CEOや日本公認会計士協会常務理事が参加している。
世界中から企業が自主的に参加するパイロット・プログラムなどの活動を行っており、2012年11月には、“OVERVIEW”、“FUNDAMENTAL CONCEPTS”、“GUIDING PRINCIPLES”、“CONTENT ELEMENTS”、“PREPARATION AND PRESENTATION”の5章から成るフレームワークのプロトタイプを発表した(※1)。2013年4月に草案公開、意見募集を行い、2013年12月に“version 1.0”を公開するとしている。
(※1)IIRC Press Releases November 26, 2012 “IIRC Releases Prototype of the International <IR> Framework”
(2013年3月29日掲載)
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2012年02月08日
2012年の非財務情報(ESG情報)開示の動向
-
2012年10月31日
GHGプロトコル
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2021年01月21日
2020年12月貿易統計
欧米での経済活動制限による需要減少を受け、輸出は足踏み
-
2021年01月21日
金融街シティは国際金融都市の座を死守できるのか?
金融サービスは合意なき離脱に突入、欧州大陸に株式取引がシフト
-
2021年01月21日
冬来たりなば
-
2021年01月20日
日本経済見通し:2021年1月
1-3月期は小幅な景気悪化を見込むも「二番底」リスクを排除できず
-
2021年01月21日
社外取締役に期待される役割の開示~改正会社法施行規則
よく読まれているリサーチレポート
-
2020年12月17日
2021年の日本経済見通し
+2%超の成長を見込むも感染状況次第で上下に大きく振れる可能性
-
2020年12月01日
2020年10月雇用統計
有効求人倍率が1年半ぶりに上昇
-
2020年11月20日
日本経済見通し:2020年11月
経済見通しを改訂/景気回復が続くも、感染爆発懸念は強まる
-
2020年08月14日
来春に改訂されるCGコードの論点
東証再編時における市場選択の観点からも要注目
-
2020年10月15日
緊急事態宣言解除後の地域別観光動向/Go To トラベルキャンペーンのインパクト試算
ローカルツーリズムが回復に寄与するも、依然厳しい状況が続く