統合報告とは、財務情報と非財務情報を統合した企業情報の報告形態である。財務情報は、有価証券報告書など法的に作成・開示が決められているものが多く、様式や開示方法がルール化されているものが多い。一方、非財務情報は、いわゆるESG(環境・社会・コーポレートガバナンス)情報のことだが、知的財産に関する情報などを含むこともあり、財務情報以外を指すと考えていいだろう。非財務情報の代表的な形態はCSR報告書であるが、これには決まった様式がない。また、CSR報告書は企業が自主的に開示しているにすぎず、作成・開示していない企業も少なくない。
従来、企業の価値を評価するために財務情報が使われてきたが、短期的な評価に偏りがちであり、経済のグローバル化に伴う環境や社会問題など、財務情報だけでは見えないリスクもある、という認識が欧米で広まった(図表)。また、将来のリスクや機会を評価するには、過去情報である財務情報だけでは不十分であるという課題も出てきた。しかし、現状のCSR報告書では、ESG関連の情報が記載されていても、経営との関連性が不明確という課題がある。こうしたことの対策として、「統合報告」という考え方が出てきたのである。
現時点で、「統合報告」に関する確立された定義はないが、財務報告とCSR報告を合冊しただけのものは統合報告ではないという認識は共通している。IIRC(国際統合報告委員会)という団体は、統合報告のフレームワークを開発しており、2013年末に第1版を公開する予定である。また、先進的な企業の中には統合報告の開示を始めたところもある。こうした企業の統合報告は各企業のウェブサイトの他、国際的なCSR報告書のガイドラインを開発しているGRIのウェブサイトで閲覧できるものもある(※1)。

(※1)GRI “Sustainability Disclosure Database”
(2013年3月29日掲載)
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
上場オーナー企業と公開買付制度・大量保有報告制度の見直し
2026年5月1日に大量保有報告書等の提出義務が発生する場合も
2026年05月15日
-
デジタルアイデンティティ・デジタルクレデンシャルをめぐる取組みと実装技術の論点整理(第1部)
デジタルアイデンティティの基本像と、EUDIウォレットにみる制度化・実装動向
2026年05月14日
-
熊谷亮丸の経済・金融 Foresight 何故、わが国では潜在成長率が低迷しているのか?
高市政権は成長戦略を強化する方針だが、①労働、②資本、③TFP(全要素生産性)という3つの要素をバランス良く底上げする必要
2026年05月13日
-
AIが変える議決権行使助言業
中立性・客観性確保のための利用を訴求へ
2026年05月13日
-
中東リスクがASEAN進出企業に与える影響の差は、どのように生じているか?
2026年05月15日
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

