「カーボン・オフセット」とは、経済活動や生活を通じて排出されるCO2などの温室効果ガス(GHG)を、代替手段を用いることによってオフセット(相殺)することを言い、国・企業・個人と様々な単位で実行できる自主的な温暖化防止策(※1)として注目されている。
カーボン・オフセットの仕組みにはカーボン・オフセット仲介事業者が存在する。仲介事業者は様々なCO2削減プロジェクトに投資することでクレジットを組成し、それを売却することによって、社会全体でGHGの排出削減に繋げることを目的としている(図表1)。
カーボン・オフセットを活用する場合は、まず始めに、事業や社会活動によって排出されるGHGを出来るだけ削減することに努める。次に、それでも排出されてしまうGHGの量を算出する。最後に、その排出量をオフセットする分の証書を購入する。証書の購入代金はGHG排出量を削減するプロジェクトに投資されることになるため、購入した分を排出量から差し引くことが出来る。ただし、カーボン・オフセット証書を購入すれば、CO2などのGHGをいくらでも排出して良いということではない。前提として、自主的な省エネ活動の土台があり、マクロ的にGHG削減を進める手段のひとつとして考える必要がある。
図表1 カーボン・オフセットの仕組み
出所:大和総研作成
(※1)排出量取引は各種規制に対する義務履行手段として活用されるが、カーボン・オフセットは自主的な取り組みと定義されている。
(2009年11月20日掲載)
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連キーワード
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
-
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
-
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日
米金融政策を占うジャクソンホール会議の注目点は?
市場が期待するほどの大幅な利下げの示唆は期待しにくい
2024年08月16日
ハリス氏はトランプ氏に勝てるのか?そして、米国経済の行方は?
トランプ氏の優勢は継続、トランプ・リスクの発現は議会選挙とトランプ氏の匙加減次第
2024年08月02日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「国債買入減額」と「追加利上げ」が長期金利と経済活動に与える影響は限定的か
2024年7月金融政策決定会合で日銀は金融緩和の縮小姿勢を明確化
2024年07月31日
「適温」なドル円相場は130円台?
ただし10円の円高で実質GDPは0.2%悪化
2024年08月14日