2008年11月26日
サマリー
◆温暖化対策として始まったはずの排出権取引が世界的に注目されるようになった。発端は京都議定書で温室効果ガス削減のための柔軟性措置として排出権取引が認められたことだが、その背景には、米国の酸性雨対策として排出権取引の有効性が明らかになったことがある。EUではすでに2005年からEU域内での温室効果ガスの排出権取引市場を稼動させ、アメリカの各州やカナダ豪州、東京都などでも規制(キャップ)を設けてその規制を効率的に達成するための排出権取引(キャップ・アンド・トレード)の導入が計画されている。ただし最近の議論を見ていると、いかに取引を容易にするか、というトレードに議論が集中しているように見える。環境対策としての排出権取引の効果は、いかにキャップをかけるか、という点にあり「取引」にはない。本稿では、排出権取引の理論的背景と実施の経緯を概観し、温室効果ガス削減対策としての排出権取引のあり方を論じる。
経営戦略研究 2008秋季号 vol.19
■巻頭言
サブプライム危機と金融取引に対する不信感
■特別寄稿
- 医療の質の向上と効率化に取り組むアメリカ ~医療法人の経営とガバナンス~
■論文
- 地方3公社の財務動向とガバナンスの課題 -(2)住宅供給公社
- 経常収支比率でみる自治体財政
- 民営化の進展とコーポレートガバナンス ~公共事業体における経営管理の一考察~
- 気候変動対策としての排出権取引を考える
- 中国におけるCSRの動向と今後の展望 -中国有力企業のCSR報告書分析から-
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ISSBがIFRS S2の改正案を公表
温室効果ガス排出量の測定・開示に関する要件を一部緩和
2025年05月16日
-
年金基金のESG投資を実質禁止へ:米労働省
バイデン政権時代に制定されたESG投資促進の規則は廃止へ
2025年05月14日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日