2024年08月15日
サマリー
◆2024年7月25日、欧州連合(EU)の「企業サステナビリティ・デュー・ディリジェンス指令(CSDDD)」が発効した。EU加盟国には、2年以内に人権・環境に関するデュー・ディリジェンス(以下、「DD」)を企業に義務付ける国内法の整備が求められる。日本企業に適用されるかどうかはEU域内の売上高によって決定される。最も早い場合には、2027年7月26日より適用が開始される。
◆CSDDDが要求する人権・環境DDの範囲を捉える上で、重要な用語が2つある。それらは、「活動の連鎖」と「ビジネス・パートナー」である。「活動の連鎖」は「バリューチェーン」の範囲を規定するもの、「ビジネス・パートナー」は「取引先」を規定するものである。人権・環境DDの範囲は、これら2つの用語の定義に基づいて決定される範囲と捉えることができる。
◆日本企業にとっては、まずはCSDDDの適用対象となるかどうかの把握を進めることが必要である。その際は、適用対象となった他の企業が実施する人権・環境DDを通じて影響が波及してくる可能性も含めて考える必要がある。今からできることとして、人権・環境DDに関する既存の原則や指針について理解を深め、実践を加速させることが重要であると考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
「ビジネスと人権」をめぐる日本企業の対応
人権デュー・ディリジェンスの実施はどこまで進んでいるか
2024年02月14日
-
人権尊重に関する企業評価と日本企業
Corporate Human Rights Benchmarkからみる現状と課題
2024年06月12日
-
人権尊重の取組みをいかに伝えるか
情報開示における「国連指導原則報告フレームワーク」の役割
2024年07月23日
-
LGBTQ+の人権をめぐる国連の活動の展開と日本企業への示唆
「国連LGBTI企業行動基準」を参照し国際的に通用する取組みを
2023年06月05日
-
人権尊重における機関投資家の役割
企業の取組みを促進する可能性への期待と課題
2024年05月01日
同じカテゴリの最新レポート
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
米国の資産運用会社に対する反トラスト法訴訟の行方
争点となるパッシブ運用を通じた水平的株式保有の影響
2025年10月31日
-
生成AI時代の人的資本経営と働き方の未来
『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日


