2023年04月21日
サマリー
男女間賃金格差の開示を企業に義務付ける動きが、先進国を中心に拡大している。日本においても、女性活躍推進法の改正および開示府令の改正により開示が義務化され、企業は対応を迫られている。世界的な男女間賃金格差の開示義務化は主に垂直分離に起因する男女間賃金格差の是正に向けて企業に取組みを促すことにある。一方、有価証券報告書等での開示義務化の背景には、男女間賃金格差の是正に向けた資本市場の役割に期待がかかるとともに、投資家の投資判断に資する情報を提供させる意図がある。本稿では、これらを踏まえた上で、英国FTSE 100 構成企業によるアニュアル・レポートの内容分析を行い、開示が求められる日本企業に対する示唆を中心に議論したい。分析の結果、FTSE 100 構成企業の約半数が男女間賃金格差の開示を行っており、その多くが格差の背景や理由の説明等を分析した記述を加えている。今後、男女間賃金格差の開示が義務化される日本企業にとっては、求められる量的指標の開示に留まらず、開示の質の向上を図ることが重要である。これは、投資家にとって開示された情報の有用性を高める上でも欠かせない。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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