2022年09月22日
サマリー
◆2022年12月に予定される生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)第二部にて「ポスト2020生物多様性枠組」が採択される見通しだ。前身の「愛知目標」は、愛知目標を受けて設定された国別のアクションの水準やカバー範囲が不十分であったことなどから達成できなかった。昨今は生物多様性と密接に関わる気候変動対策への注目が高まるなど、生物多様性をとりまく社会経済環境が大きく変わったことから、COP15において実効性のある野心的な目標が示されることが期待されている。
◆「ポスト2020生物多様性枠組」のドラフトを見ると、全体的に野心的な数値目標を設定する動きがある(ただし、数値やその範囲をめぐっては未確定事項が多い)。また、愛知目標と比べ、ビジネスに関する目標が増加しており、企業が生物多様性へ与える影響の開示義務化などが議論されている。
◆「ポスト2020生物多様性枠組」採択後は、グローバルでは目標の進捗状況を測定する指標の設定の議論や、「ワンヘルス」への取り組みが注目されよう。国内では2023年に「次期生物多様性国家戦略」が策定される予定だ。加えて、IPBES(生物多様性および生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム)が発表予定のビジネスと生物多様性に関するレポートが民間企業の取り組みを後押しする可能性がある。
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