TCFDに沿った情報開示の状況(指標と目標)

TOPIX500採用会社の任意開示書類での気候変動に関する情報開示

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サマリー

◆本稿では、TOPIX500採用会社のうち、任意開示書類(統合報告書、サステナビリティレポートなど)を発行している企業(439社)の2022年9月末時点におけるTCFDに沿った情報開示の状況を整理し、今後の開示に向けて得られた示唆について述べる。特に、TCFDで開示が求められる、気候変動に関する「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」のうち、「指標と目標」にフォーカスする。

◆「指標と目標」については、GHG排出量、特にScope1、2について指標として開示(362社)し、目標として掲げている企業(Scope1:293社、Scope2:292社)が多く見られた。Scope3についても、少なくとも指標としてその排出量の把握を進めている企業(277社)は多い。その他にも、例えば再生可能エネルギーを指標(128社)や目標(111社)として用いている企業が見受けられた。

◆今後、有価証券報告書でサステナビリティ情報の開示が求められる。指標・目標として何を用いるかは各企業によって異なるが、本稿における調査結果や同業他社の指標、国際的な基準などを参考に、自社の気候関連リスク・機会やその対応をモニタリングするために適切な指標・目標を用いるべきだろう。指標・目標について、社内の各部署に落とし込んで理解を深め、企業が一体となって気候変動への取り組みを進めるとともに、投資家に指標・目標を開示、説明し、その意味や進捗を共有することが重要であると考えられる。

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