2022年10月20日
サマリー
近年、人的資本経営を実践する英米企業は、ファイナンシャル・ウェルネスの取り組みを強化している。企業の持続的な成長には従業員が能力を発揮できる環境づくりが重要であり、それには、企業が経済面も含めて従業員を支援することが必要と考えられるようになったからだ。メンタルヘルスの問題増加や労働力不足が深刻化する中、英米企業では、ファイナンシャル・ウェルネスの取り組みを重要なリスク対策の一つとして、積極的に情報開示するようになっている。
翻って日本では、従業員の満足度や意欲を向上させるため、企業が独自に幅広い福利厚生を提供してきたが、企業規模による制度整備の状況に差が見られるなど課題もある。従業員のファイナンシャル・ウェルネスの取り組みが不足していることは、重大なリスクにつながる恐れがある点を踏まえ、日本企業も従業員の経済的自立を支援し、自助努力による資産形成を着実に行えるようにすることが必要だろう。こうした企業の取り組みを円滑に進めるためには、政府による資産形成制度の周知徹底等の施策も必要であり、官民が連携して進めるべきだ。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
米国の資産運用会社に対する反トラスト法訴訟の行方
争点となるパッシブ運用を通じた水平的株式保有の影響
2025年10月31日
-
生成AI時代の人的資本経営と働き方の未来
『大和総研調査季報』2025年秋季号(Vol.60)掲載
2025年10月24日


