2021年02月04日
サマリー
◆中央銀行関係者の間で「気候変動は金融リスク」という認識が高まっている。その一方、中央銀行として気候変動問題にどこまで介入すべきかについては、意見が大きく分かれている。具体的には、気候変動リスクから金融システムの安定を守るプロテクティブな対応を取ることについては肯定的な意見が多いものの、金融政策を通じて低炭素社会への移行を支援するプロアクティブな対応を取ることについては懐疑的な見方が多い。
◆本稿では、金融政策を通じて気候変動問題に対応しようとする、いわゆるグリーン金融政策に焦点を置く。そして、グリーン金融政策の検討を進めているECBの事例も踏まえながら、中央銀行に課されたマンデートとの整合性や、グリーン金融政策がもたらす環境改善効果に関する議論を紹介し、グリーン金融政策の実施可能性を検討する。
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