2023年05月29日
サマリー
◆東京証券取引所(以下、東証)は2023年6月をめどに、アクティブ運用型ETF(連動対象となる指標が存在せず、ベンチマークを上回る成果を目指して運用が行われる上場投資信託。以下、アクティブETF)の上場制度を整備すると発表した。
◆すでに諸外国ではアクティブETFが導入されている例が多い。2022年末時点で、全世界24カ国、32の取引所でアクティブETFが取引されており、純資産残高は約4,880億ドルに上るという調査結果もある。投資信託に比べて低コストであることや、市場価格で取引できることなどのメリットを受け、投資信託からETFに資金が流入したようだ。
◆アクティブETFをすでに導入した国々においてしばしば議論される論点として、どの程度の頻度でポートフォリオの開示を求めるのか、という点が挙げられる。東証はポートフォリオの日次の開示を求める予定だ。ポートフォリオの日次の開示により、ETFの構成銘柄や価格に対する透明性が高まる一方、ファンドの運用戦略が分析・模倣されてしまう可能性がある、といったデメリットがあり、諸外国では対応が割れている。
◆米国においては、原則として日次のポートフォリオ開示が求められているが、特殊な仕組みを用いてポートフォリオの日次開示に伴うデメリットを克服したETFが上場しているなど、様々な工夫が見られる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国401(k)プランにおけるターゲット・デート・ファンド導入の効果
若年層の株式比率上昇に伴う資産拡大と株式直接投資への波及効果
2025年08月13日
-
ISSが取締役兼務数基準の導入を検討
取締役の兼務が多すぎる場合、選任議案に反対投票推奨へ
2025年07月31日
-
大和のクリプトナビ No.3 ビットコインのポートフォリオ組入れ効果
GPIFの基本ポートフォリオをもとにした検証
2025年06月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日