サマリー
◆直近20年間の日本の実質賃金上昇率は米国のそれを年率1.2%pt下回った。その背景には、主に生産性上昇率の低さと平均労働時間の減少がある。
◆生産性低迷を招いている要因として、全産業に共通するのはICT資本の弱さだ。また、産業別に課題を整理すると、個人向けサービス業では消費マインドの回復と省力化投資が重要だ。情報通信業と専門知識・派遣・事務代行では、設備投資の拡大と世界的に増加する需要の取り込み策の両輪で投資を成長に結びつける必要がある。
◆平均労働時間は近年、働き方改革の進展などにより減少傾向にあった。こうした変化は前向きに評価される面もある一方、より長く働きたい労働者も一定数存在する。仕事と育児・介護などの両立支援の加速などを通じて、労働者の追加就労希望が実現しやすくなれば、マクロの平均労働時間は1.3~3.6%程度増加する可能性がある。
◆2040年度までの実質賃金は、直近の経済状況を将来にわたって投影したシナリオでは年率+0.7%の見込みだ。さらに、各種政策で企業の投資行動などが大きく変化し、労働市場改革や社会保障改革なども進展すれば、実質賃金の伸びを同+1.2~1.6%程度まで高めることも可能だ。
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