投信運用広がるDC、時価上昇で資産額増加

元本確保型商品100%運用の加入者は2割強、分散投資の促進が課題

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サマリー

◆確定拠出年金(DC)は、2024年度末時点で利用者が1,300万人を超え、老後資産の受け皿として存在感が一段と高まっている。同時点で資産総額は30兆円を超え、過去10年で約3倍に拡大した。加入者の投資信託による運用の拡大が背景にあり、掛金拠出額の増加に加え、株高や円安進行による時価上昇が資産増加に大きく寄与している。

◆一方、DCの資産を元本確保型商品(預貯金・保険)100%で運用する加入者は依然として存在する。低利回りの元本確保型商品はインフレ時には実質価値が目減りするため、老後資産を十分に確保できない可能性が高い。投資信託の運用で収益を得ている加入者との資産格差は拡大している恐れがあり、分散投資の実践を促す仕組みの構築が必要である。

◆加入者が自ら運用を指図しない場合に適用される指定運用方法には、投資信託の選定を促すことが求められる。また、加入者の適切な商品選択をサポートするには、投資教育も重要だ。企業型DCを運営する企業や運営管理機関に対しては、従業員の運用改善に成功している企業の事例を参考に、投資教育の効果を高めるための工夫と継続的な実施の徹底を求める必要があるだろう。

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