サマリー
◆国際商品市場において、原油価格は2017年に入ってから軟調な推移が続いていたものの、6月を底に上昇基調に転じた。その後、原油価格は5ヵ月間で約3割も上昇したことになる。この主な要因としては、(1)世界の石油需給バランスの改善、(2)投機筋による買い、(3)米国シェールオイル・ガスのリグ稼働数の減少、(4)米国の原油在庫の調整、などが挙げられる。
◆原油価格のCPIのエネルギー価格(電気価格、ガス価格、灯油価格、ガソリン価格)に対する価格弾性値を利用して、その影響度を試算した。原油価格は6月を底に約3割上昇しており、その影響が全て顕在化すると、コアCPI(前年比)は+0.46%pt程度も押し上げられることになる。また、石油由来の素材価格や運搬コストの上昇などを通じた間接的な影響についても一定程度考慮する必要がある。
◆原油価格が3割上昇した場合、全国平均で見ると、今冬(2017年12月~2018年2月)のエネルギー代の負担増加額は、一世帯当たり約4,500円程度になる。都道府県別に見ると、東京、大阪、愛知などの大都市圏の負担増が小さい一方で、東北地方や北陸地方は大きい。最も負担が増えるのは青森県で、約1万円(1ヵ月当たり約3,300円)と一定の負担感が生じる。
◆年収階級別に見ると、エネルギー価格の上昇は、低所得世帯ほど負担感が大きく、消費者マインドの下押し要因にもなる。年収が300万円未満の世帯では、年間のエネルギー代が消費支出の1割弱に達するのに対して、年収が1,000万円以上の世帯は5%前後に留まる。原油価格の上昇傾向が今後も続くことになれば、とりわけ低所得世帯の家計を徐々に圧迫する要因となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
2026年4-6月期GDP(1次速報)予測(改訂版)~前期比年率+2.5%に下方修正
直近公表の基礎統計を踏まえ、個人消費と外需をそれぞれ下方修正
2026年08月10日
-
2026年6月消費統計
半耐久財とサービスが弱く、総じて見れば前月から大幅に減少
2026年08月07日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

