2021年11月15日
サマリー
◆金融事業者による顧客本位の良質なサービスの提供が自らの顧客基盤や収益の確保に繋がる一つの重要な形として、既存顧客による新規顧客の紹介が考えられる。本レポートでは、①友人や知人に対する利用金融機関の紹介意向は顧客の属性によって異なるのか、②金融事業者がどのようなサービスを提供することによって既存顧客による紹介意向は高まるのか、の2点を金融庁「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査」を用いて検討した。
◆①を検討した結果、若年層やネット銀行・証券利用者が友人や知人に対して自身が利用している金融機関を紹介する意向が強いことが明らかになった。また、NISAが始まったことをきっかけに資産運用を始めた人びとの紹介意向も相対的に強いことが分かった。
◆②を検討した結果、「対面銀行・証券」においては、金融商品の販売時や販売後に手厚く安心できるようなサービスを提供することが、顧客の紹介意向を高めることが示唆された。一方で「ネット銀行・証券」においては、手数料が安価であること、利用時にポイントが付与され利用できること、取引が簡単にできることなどが、紹介意向を高めるサービスであることが示唆された。
◆顧客満足度の水準を一定とすると、①と②で検討した顧客の属性やサービスの違いによる紹介意向の差は小さくなる。このことは、顧客満足度を向上させることが、金融機関の紹介意向を高めるためには重要になるということを示唆している。以上を踏まえると、金融事業者は、顧客が満足できるような良質なサービスを提供することによって、自らの安定した顧客基盤と収益の確保に繋げていくことを目指すべきことがここでも確認される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
海外で進む包摂的な資産形成支援策
資産形成の入口支援、就労自立支援との連携、将来投資に繋ぐ視点
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
議決権行使助言業者に反トラスト法上の懸念
米国司法省が議決権行使助言業者の事業を承認した際の通知を撤回
2026年08月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

