資産運用においてどのような顧客が利用金融機関を友人や知人に紹介するのか

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サマリー

◆金融事業者による顧客本位の良質なサービスの提供が自らの顧客基盤や収益の確保に繋がる一つの重要な形として、既存顧客による新規顧客の紹介が考えられる。本レポートでは、①友人や知人に対する利用金融機関の紹介意向は顧客の属性によって異なるのか、②金融事業者がどのようなサービスを提供することによって既存顧客による紹介意向は高まるのか、の2点を金融庁「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査」を用いて検討した。

◆①を検討した結果、若年層やネット銀行・証券利用者が友人や知人に対して自身が利用している金融機関を紹介する意向が強いことが明らかになった。また、NISAが始まったことをきっかけに資産運用を始めた人びとの紹介意向も相対的に強いことが分かった。

◆②を検討した結果、「対面銀行・証券」においては、金融商品の販売時や販売後に手厚く安心できるようなサービスを提供することが、顧客の紹介意向を高めることが示唆された。一方で「ネット銀行・証券」においては、手数料が安価であること、利用時にポイントが付与され利用できること、取引が簡単にできることなどが、紹介意向を高めるサービスであることが示唆された。

◆顧客満足度の水準を一定とすると、①と②で検討した顧客の属性やサービスの違いによる紹介意向の差は小さくなる。このことは、顧客満足度を向上させることが、金融機関の紹介意向を高めるためには重要になるということを示唆している。以上を踏まえると、金融事業者は、顧客が満足できるような良質なサービスを提供することによって、自らの安定した顧客基盤と収益の確保に繋げていくことを目指すべきことがここでも確認される。

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