2021年08月11日
サマリー
◆本レポートでは、金融庁が公表した「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」を用いて、金融事業者が提供するサービスが顧客満足度に及ぼす影響を利用金融機関の業態(対面銀行・証券/ネット銀行・証券)別に検討した。
◆その結果、対面銀行・証券とネット銀行・証券のいずれでも、金融商品販売時の説明等が充実しているほど顧客満足度が高まることがわかった。もっとも、どのような説明等が顧客満足度に影響を及ぼすかは、業態により異なる。具体的には、対面利用者については金融商品の丁寧な説明や人生設計等までに踏み込んだ個別のアドバイスの提供が顧客満足度を高めるのに対して、ネット利用者については手数料や税金の説明といった損益に直接的に関わる部分の説明の充実が顧客満足度を高めることが示された。
◆商品購入後のフォローアップは、対面利用者の顧客満足度を高めている一方、ネット利用者では顧客満足度の押し上げ効果は確認できなかった。全体的には顧客満足度はネット利用者の方が高い傾向にあるが、対面利用者のうち商品購入後のフォローアップを受けたと回答した人は、ネット利用者と同程度の水準の顧客満足度となっていた。
◆以上の結果は、対面銀行・証券とネット銀行・証券それぞれが自らの顧客の特徴にあったサービスを提供し、顧客満足度を向上させるための参考となるだろう。
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