企業年金の普及・拡大に向けた取り組みについて

『大和総研調査季報』 2016年新春号(Vol.21)掲載

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2016年03月01日

サマリー

公的年金を補完する私的年金として、企業年金の重要性は増している。しかし、各国の年金基金の水準と比較すると、日本の私的年金は公的年金を補完するものとして十分とはいえないだろう。


日本のこれまでの企業年金制度の変遷を見ると、適格退職年金の廃止、厚生年金基金の事実上の廃止の影響を受け、縮小傾向にあるといえる。退職給付制度を導入する企業割合の低下にもつながっている。


こうした認識の下、現在、企業年金の普及・拡大に向けた取り組みが進められている。DB、DCにおける制度の見直し、中小企業に対する取り組み、また新しい制度の構想も具体性を増しており、今後の動向が注目される。


一方で、現在の企業年金制度は働き方の多様化に対応しているとは言い難い。多くの企業では正社員以外の労働者を採用しているが、企業年金が適用されている労働者は数%程度である。今後、企業年金制度の普及・拡大に向けた取り組みを進めると同時に、就業形態にかかわらず被用者全体を対象とした制度を創設するなどの取り組みが必要ではないだろうか。


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