サマリー
◆2014年4月に「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」が施行され1年がすぎ、厚生年金基金は解散又は代行返上が進んでいる。解散後に、他の制度へ移行する企業がある一方で、制度を廃止する企業もある。また、適格退職年金の廃止の影響も一因となり、企業年金制度を導入する企業の割合は低下している。今後の動向によっては、企業年金のさらなる縮小が懸念される中、企業年金の普及・拡大にむけた取り組みが進められている。
◆確定給付企業年金(以下、DB)は、近年、追加拠出等のリスク負担が大きいことから、運用リスクを軽減するようなハイブリッド型制度の構想、弾力的な掛金拠出などが緩和措置として取り上げられている。また、中小企業へ向けて「受託保証型DB」の適用対象拡大などの措置が検討されている。
◆確定拠出年金(以下、DC)は制度導入以降、元本確保型の商品に偏重する資産内容が課題となっている。分散投資を促すよう、運用面の課題の改善、継続的な投資教育、また、中小企業に向けて、簡易型DCの導入、個人型DCにおける規制緩和などが図られている。
◆将来の公的年金の給付抑制が懸念される中、それを補完する役割を担う私的年金として企業年金の重要性は増している。今後はDC、あるいはDBとDCの特徴を合わせもつハイブリッド型制度のような企業と加入者で運用リスクを分け合う形の制度設計も増えていくだろう。同時に加入者の自助努力による資産形成が強く求められており、投資教育をはじめとする運用環境の配慮が最も重要といえるかもしれない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
議決権行使は過度に重視されている:英IA
議決権行使の重要性を強調するあまり形式的対応を招いている
2026年02月16日
-
機関投資家は「全企業全議案」に議決権行使するべきか?
議決権行使におけるコスト・ベネフィット分析の視点の導入と、議決権行使助言業者の影響力を適正化する必要性
2026年01月16日
-
議決権行使助言業者の新方針:2026年以降ジェンダーや長期在任の基準厳格化
ISSとグラス・ルイスが2026年以降に適用開始となる議決権行使助言の新方針を公表した
2025年12月26日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
2026年度税制改正大綱解説
給付付き税額控除導入を含めた所得税の抜本的改革が必要
2025年12月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
「飲食料品の消費税ゼロ」の経済効果
世帯あたり年8.8万円の負担軽減になり個人消費を0.5兆円押し上げ
2026年01月20日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
2026年度税制改正大綱解説
給付付き税額控除導入を含めた所得税の抜本的改革が必要
2025年12月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
「飲食料品の消費税ゼロ」の経済効果
世帯あたり年8.8万円の負担軽減になり個人消費を0.5兆円押し上げ
2026年01月20日

