アベノミクスと家計資産

~「貯蓄から投資」の実現メカニズムを考える~『大和総研調査季報』 2013年夏季号(Vol.11)掲載

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2013年09月02日

  • 調査本部 常務執行役員 調査本部 副本部長 保志 泰
  • 経済調査部 主任研究員 矢作 大祐

サマリー

「アベノミクス」への期待から、家計の金融資産に変化の兆しが現れている。これまで「貯蓄から投資」が進まなかった背景には、「期待収益率の低迷」「所得環境の悪化」といった経済環境によるものや、「マイホーム志向」「終身雇用システム」といった社会構造によるものが挙げられる。


アベノミクスが目指す「デフレ脱却」や「民間活力の爆発」が実現するならば、これまでの環境は一変し、「貯蓄から投資」が進む可能性が高まるだろう。さらに、雇用制度改革や社会保障制度改革の動きが、家計に自助努力による資産形成を迫ることになる。


本稿では、特に「マイホーム志向」に関して検討を深めた。これまで、住宅ローン債務を抱える若年層にはリスク資産投資の余裕はなく、高齢層でも流動性の低い不動産の保有がネックになっていた。


これらを踏まえると、①若年層への資産承継を促進し、抱えてきた債務負担を軽減させること、②高齢層の保有する不動産の資金化を容易にすること——により過度の現預金志向を緩和させる必要があるだろう。


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