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家計の債券投資に変化の兆しあり

個人向け国債の満期到来と社債・外債への投資増加

2012年12月11日

金融調査部 研究員 矢作 大祐

金融調査部 主任研究員 太田 珠美

サマリー

◆家計の債券投資に変化が見られる。具体的には、家計が保有する[1]国債残高の減少、[2]社債残高の増加、[3]投資信託を経由した外債残高の増加が挙げられよう。


◆家計が保有する国債残高の減少は、個人向け国債の償還期限到来が背景にある。2014年・2015年には、個人向け国債(変動10年)の大量償還が到来する見込みである。金利の低下に伴い、個人向け国債に対する購入意欲は低下しており、償還後の再投資は必ずしも期待できない。家計による国債投資の増加を促すためには、金利水準や金利の決定方法の変更、新商品の提案等の改善策が有効かと思われる。


◆家計による社債投資は、近年増加傾向にある。電力債は、2011年の東日本大震災以降、発行額・件数ともに急減した。一方で、2013年3月末から実施される銀行規制強化(バーゼルⅢ)を背景に、メガバンク等金融機関による個人向け劣後債の発行が近年増加した。今後は国内基準行向けの規制次第で、地方銀行が個人向け劣後債の発行を駆け込み的に増やす可能性もあろう。2011年に発行が減少した電力債の発行の平常化や地方銀行による劣後債の発行が増えれば、リターン志向の強い家計の一部は、社債投資を積極化させる可能性が考えられよう。


◆家計による外債投資は、投資信託を経由したものが多く、金利水準の高い地域(エマージング、オセアニア)を対象とした国際債券型投資信託の人気が高い。中でも、2011年8月以降、為替ヘッジ有の国際債券型投資信託への資金流入が続いている。家計は収益性の高さを期待しながらも、為替変動リスクを低減させた商品を選択していると言えよう。


◆個人向け国債の償還分は、安全性と流動性を重要視する家計資金の一部は流動性預金へ、収益性を重要視する家計資金の一部は社債、外国債券投資へ向かうとみられる。普通社債、劣後債、国際債券型投資信託といった投資商品の選択肢増加を背景に、家計はリスク許容度に応じた債券投資が可能となってきていると言えよう。

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