サマリー
◆2000年代前半から、家計を中心に流動性預金が増えている。定額郵貯の集中満期や個人向け国債の満期償還を迎えて、流動性預金はさらに増える傾向にある。
◆過去の家計金融資産を、定期性預金の残高増減や債券売買等からみると、わずかな金利変化にも反応していた様子がうかがわれる。
◆金融債の発行が順次停止されるにつれて、家計が保有する円建て債券のほとんどは国債となった。個人向け社債や地方債等の発行も限定的であり、家計の金融資産は、投信等に向かっているものの、主に海外の債券やREIT など、インカムゲインを求める傾向と考えられる。
◆投資先の不足、将来消費への備えという、二重の意味で、流動性預金に資金が滞留している可能性が考えられる。
◆受け皿となるべき円建て債券等、高めのインカムゲインを得られる資産クラスが不足していると言えるのではないだろうか。東日本大震災の復興資金調達を含め、国債よりも高いインカムゲインが得られる債券、あるいはこういった債券をリパッケージした投信等に資金運用ニーズがあるのではないか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
家計の証券売買等は短期的な取引に
リーマン・ショック以降は若年層を中心にレバレッジをかけて短期化か
2012年01月12日
-
優先株式は企業の資本政策に応じた活用を
優先株式による増資は資金繰りに窮した企業だけが行うものではない
2012年02月22日
-
家計金融資産の偏在と運用面の課題
『大和総研調査季報』 2012年新春号(Vol.5)掲載
2012年04月02日
-
定額郵貯集中満期の経過と今後
個人資金に動意は乏しいが、デフレ期待は後退
2011年06月16日
同じカテゴリの最新レポート
-
米国DC「自動加入化」の効果と今後の期待
若年層や低所得者層の加入率向上と資産形成の促進に有効な仕組み
2025年10月07日
-
議決権行使における取締役兼務数基準の今後
ISSの意見募集結果:「投資家」は積極的だが、会社側には不満
2025年10月03日
-
大和のクリプトナビ No.4 ビットコインは「デジタル・ゴールド」か?
一定の妥当性はあるが脆弱性が残る。制度の整備や需要の多様化が鍵
2025年10月02日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日