家計の流動性預金増加の背景を探る

将来消費の備えと手頃な利回りを得られる投資対象の不足

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2011年09月15日

  • 土屋 貴裕

サマリー

◆2000年代前半から、家計を中心に流動性預金が増えている。定額郵貯の集中満期や個人向け国債の満期償還を迎えて、流動性預金はさらに増える傾向にある。

◆過去の家計金融資産を、定期性預金の残高増減や債券売買等からみると、わずかな金利変化にも反応していた様子がうかがわれる。

◆金融債の発行が順次停止されるにつれて、家計が保有する円建て債券のほとんどは国債となった。個人向け社債や地方債等の発行も限定的であり、家計の金融資産は、投信等に向かっているものの、主に海外の債券やREIT など、インカムゲインを求める傾向と考えられる。

◆投資先の不足、将来消費への備えという、二重の意味で、流動性預金に資金が滞留している可能性が考えられる。

◆受け皿となるべき円建て債券等、高めのインカムゲインを得られる資産クラスが不足していると言えるのではないだろうか。東日本大震災の復興資金調達を含め、国債よりも高いインカムゲインが得られる債券、あるいはこういった債券をリパッケージした投信等に資金運用ニーズがあるのではないか。

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